植毛してまだ1〜2週間なのに、シャンプーのたびに植えたはずの毛が抜けていき、「失敗したのでは」と鏡の前で不安になっている。植毛後に毛が抜けるのは普通のことなのか、クリニックに連絡すべきか迷っていませんか。
結論から言うと、植毛後に毛が抜けること自体は多くの場合想定された経過です。移植した毛は見えている部分(毛幹)がいったん抜けても毛根は頭皮に残り、数か月かけて生え直すと国際毛髪外科学会(ISHRS)は説明しています。ただし、赤みや痛みが強くなる、膿が出るといった症状を伴う場合は経過とは別の問題の可能性があります。この記事を読めば、ショックロスの正体、抜ける時期と回復の目安、受診すべきサインがはっきりします。
この記事でわかること
- 植毛後に毛が抜ける2つの理由
- 1週間・2週間で抜けるときの考え方
- 生え直すまでの期間の目安
- ショックロスを起こしやすい人と対策
- クリニックに相談すべき症状
- 術後の相談体制で見るクリニック選び
- 植毛後に毛が抜けるのは多くの場合想定された経過で、毛根は残っている
- 植毛後に抜ける毛は「移植した毛の脱落」と「既存毛のショックロス」の2種類
- 1週間・2週間で抜けるときは、かさぶたと一緒に取れる毛かどうかを見る
- 生え直しは数か月単位で、完成までは1年以上かかることもある
- ショックロスは女性や薄毛が進んだ人で起こりやすく、術前からの治療薬で抑えられることがある
- 赤み・腫れ・膿・強い痛みが続くときは早めにクリニックへ相談する
- 術後の不安を相談しやすいクリニックを選ぶことが、ショックロスへの一番の備え
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:植毛後の抜け毛は経過の一部、炎症のサインと長期の治療に注意する
- 参考文献・参考サイト
植毛後に毛が抜けるのは多くの場合想定された経過で、毛根は残っている
植毛後の脱毛は、多くの場合「毛根が死んだ」のではなく、見えている毛だけがいったん抜ける現象です。
自毛植毛は、AGA(男性型脱毛症)の影響を受けにくい後頭部・側頭部から毛包(毛根を包む組織)を採取し、薄くなった部分へ移し替える外科手術です。移し替えた直後の毛は、新しい場所で血流を受けるまでのあいだに大きな負担を受けます。ISHRSの患者向けページでは、かさぶたが取れたあと移植した毛は抜け落ちるものの、根元(root)は残っていると説明されています。
抜け毛が出たこと自体で「定着しなかった」と判断することはできません。生えてくるかどうかは、数か月単位の経過を見て判断するものです。
一方で、すべての株が必ず生着するわけではありません。日本皮膚科学会のガイドラインでは、文献をもとに自毛植毛は82.5%以上という高い生着率が得られると記載されていますが、これは全員の結果を保証する数字ではなく、個人差があります。親和クリニックの公式サイトにも「生着率は個人差が大きく、施術結果を一律に保証するものではありません」と注記されています。
植毛後に抜ける毛は「移植した毛の脱落」と「既存毛のショックロス」の2種類
植毛後に抜ける毛には、移植した毛そのものが抜けるケースと、もともと生えていた毛が一時的に抜けるケースの2種類があります。
日本では両方をまとめて「ショックロス」と呼ぶことが多いですが、ISHRSのFUT(ストリップ法)の解説では、ショックロスを「移植していない既存の毛が一時的に抜け、その部分が薄く見える状態」として説明しています。違いを整理すると次のとおりです。
| 種類 | 何が抜けるか | どこで起こるか | その後 |
|---|---|---|---|
| 移植した毛の脱落 | 移植した毛の見えている部分(毛幹) | 移植した部分 | 毛根は残り、数か月かけて生え直すのが一般的な経過 |
| 既存毛のショックロス | 移植部の周りにもともと生えていた毛 | 移植した部分の周り(採取した後頭部に起こることもある) | 一時的なもので、時間とともに回復するとされる |
既存毛のショックロスは、手術による刺激で毛の生え変わりの周期が乱れ、休止期に入った毛がまとめて抜ける状態(休止期脱毛)と考えられています。ISHRSのFUEの解説でも、一時的な休止期脱毛は精神的にこたえることがあるものの、経験のある医師のもとではリスクは比較的低く一時的なものだとしています。
術前より薄く見える時期があるため、「植毛したのに前より悪くなった」と感じる人もいますが、事前に知っておけば慌てずに済みます。
1週間・2週間で抜けるときは、かさぶたと一緒に取れる毛かどうかを見る
術後1〜2週間に抜ける毛は、かさぶたと一緒に取れる毛であることが多く、かさぶたを無理にはがさないことが大切です。
ISHRSのFUEの解説では、移植部にできた小さなかさぶたは、通常1〜2週間後にやさしく洗い流すようにして取れていくとされています。ただし、洗髪の開始時期やかさぶたの扱い方は医師ごとに方針が異なるとも書かれています。自分の判断で強くこすったり爪ではがしたりせず、執刀したクリニックの指示に従いましょう。
1週間ごろに抜ける毛の考え方
術後1週間前後は、移植した株が頭皮に落ち着いていく時期です。この時期にかさぶたと一緒に毛が抜けても、多くは見えている部分が抜けただけですが、かさぶたを引っかいて取ったり、頭をぶつけたりした場合は株そのものが取れてしまうおそれがあります。洗髪方法や帽子の着用、運動の再開時期など、クリニックから受けた注意を守ることが最優先です。
2週間以降に抜ける毛の考え方
かさぶたが取れたあとも、移植した毛がぱらぱらと抜け続けることがあります。ISHRSは、かさぶたが取れたあとに移植毛が抜け、いったん植毛前のような見た目に戻る時期があると説明しています。移植部の周りの既存毛が抜けて薄く見えるのも、この時期以降に気づきやすい変化です。
抜ける時期や量には個人差があり、「何日目に何本」という決まった基準はありません。気になる場合は、抜けた時期と範囲をメモしておき、検診のときに医師に見てもらうと話がスムーズです。

生え直しは数か月単位で、完成までは1年以上かかることもある
抜けた移植毛が生え直して見た目が整うまでには、少なくとも数か月、全体の結果がわかるまでには1年以上かかることもあります。
ISHRSは、毛が伸びるのは1か月に約1cmで、結果が出るまで最低でも数か月、最終的な結果が見えるまで1年以上かかることも多いと説明しています。既存毛のショックロスについても、時間とともに回復するものとされています。
| 時期 | 起こりやすい変化 | 過ごし方のポイント |
|---|---|---|
| 術後〜1、2週間 | 移植部にかさぶたができ、徐々に取れていく | かさぶたを無理にはがさない。洗髪はクリニックの指示どおり |
| かさぶたが取れたあと | 移植毛が抜け、周りの既存毛が抜けることもある | 植毛前のような見た目に戻る時期があると知っておく |
| 数か月後〜 | 新しい毛が少しずつ伸びてくる | 1か月に約1cmのペースなので、短期間で判断しない |
| 1年前後〜 | 全体の仕上がりが見えてくる | 仕上がりを医師と確認し、追加の治療が必要か相談する |
上の表は一般的な流れで、時期の目安は人によって前後します。焦って市販の育毛剤を自己判断で使い始めたり、頭皮を強くマッサージしたりする前に、まず執刀医に相談しましょう。

ショックロスは女性や薄毛が進んだ人で起こりやすく、術前からの治療薬で抑えられることがある
ショックロスは誰にでも起こりうるものの、起こりやすい人がいて、術前からのAGA治療薬の使用でリスクを下げられる場合があります。
ISHRSのFUTの解説では、女性や、細く弱った毛(軟毛化した毛)が広く残っている男性はショックロスを起こしやすいとされています。移植部の周りに細い既存毛が多いほど、一時的に抜けたときの見た目の変化も大きくなりやすいと考えられます。
同じページでは、手術の少なくとも6週間前から治療薬を使うことで、ショックロスのリスクを完全には避けられないものの抑える助けになる可能性があるとして、男性ではフィナステリドとミノキシジル、女性ではミノキシジルが挙げられています。服用の可否や開始時期は持病や体質によって変わるため、必ず医師と相談して決めてください。
また、植毛した毛はAGAの影響を受けにくい部位の毛ですが、植毛していない既存の毛はその後もAGAで薄くなり続けることがあります。ショックロスで抜けた既存毛が戻るかどうかとは別に、長期的には治療薬の併用を医師と検討するのが基本です。
赤み・腫れ・膿・強い痛みが続くときは早めにクリニックへ相談する
抜け毛そのものより、頭皮に炎症のサインがあるかどうかが、受診を急ぐかどうかの目安になります。
自毛植毛は外科手術なので、腫れ・痛み・出血・感染などのリスクがあります。ISHRSも、頭皮の嚢胞(できもの)や軽い感染を起こりうる合併症として挙げています。次のような症状があれば、次回の検診を待たずに執刀したクリニックへ連絡しましょう。
- 移植部や採取部の赤み・腫れが日を追うごとに強くなる
- 膿が出る、ぶつぶつとしたできものが増える
- 痛みが引かず、むしろ強くなっていく
- 発熱がある
- 採取した後頭部の毛が広い範囲で抜けて地肌が目立つ
また、時間がたっても移植部の生え方が明らかに少ない場合は、ショックロスではなく生着しなかった株がある可能性もあります。判断には時間がかかるため、検診のたびに頭皮の状態を見てもらい、気になる点を記録しておくと安心です。

術後の不安を相談しやすいクリニックを選ぶことが、ショックロスへの一番の備え
ショックロスの時期は不安が大きくなりやすいので、手術の技術だけでなく、術後に相談できる体制があるかどうかもクリニック選びの基準になります。
各クリニックの公式サイトで確認できる術後の体制の例は次のとおりです(2026年10月時点・各公式サイトより)。最新の内容は公式サイトで確認してください。
| クリニック | 公式サイトに記載のある術後の体制 |
|---|---|
| カミノクリニック | 施術翌日に包帯を外して洗髪するサービス |
| 親和クリニック | 定期検診・翌日洗髪が無料 |
| 東京植毛クリニック | 術後の経過観察を来院またはオンラインで無料実施 |
カミノクリニックの術前・術後のサポート
カミノクリニックは、FUE法による「カミクリ式植毛術」と、後頭部を刈り上げずに採取する「ノンシェーブン植毛術」を行うクリニックです。無料カウンセリングでは、植毛体験者である毛髪カウンセラーが相談に乗り、そのうえで医師が診察します。術後の抜け毛がどう見えるのかを、体験者に事前に聞いておけるのは安心材料のひとつです。施術翌日には包帯を外して洗髪するサービスがあります。
料金は基本治療費22万円+1株550円(カミクリ式)、ノンシェーブンは1株880円です(2026年10月時点・公式サイトより、税込)。術後の検診の回数や、ショックロスが起きたときの相談方法はカウンセリングで確認しておきましょう。医師の診察の結果、施術できない場合もあり、必要な株数はカウンセリングで決まります。
公式サイト: カミノクリニック
よくある質問(FAQ)
植毛後1週間で毛が抜けたら失敗ですか?
1週間ほどで毛が抜けても、それだけで失敗とは言えません。ISHRSは、かさぶたが取れたあと移植毛は抜けるものの根元は残ると説明しています。ただし、かさぶたを無理にはがすと株ごと取れるおそれがあるため、洗髪や生活上の注意はクリニックの指示を守りましょう。不安なときは自己判断せず、執刀したクリニックに相談してください。
ショックロスで抜けた既存の毛は元に戻りますか?
ISHRSは、移植していない既存毛のショックロスは一時的なもので、時間とともに回復するとしています。ただし、もともとAGAで細く弱っていた毛は、AGAの進行そのものによって戻りにくいこともあります。長期的に既存毛を守るには、フィナステリドなどの治療薬の併用を医師と相談するのが基本です。
ショックロスは防げますか?
完全に防ぐ方法はありません。ISHRSは、手術の少なくとも6週間前から治療薬を使うことでリスクを抑える助けになる可能性があるとしていますが、完全には避けられないとも書いています。薬の使用は持病や体質によって可否が変わるため、術前のカウンセリングや診察で医師に相談しましょう。
移植した毛が生えてきたと実感できるのはいつごろですか?
ISHRSは、毛は1か月に約1cm伸びるため結果が出るまで最低でも数か月、最終的な結果が見えるまで1年以上かかることも多いと説明しています。数か月の時点で生え方が少なく見えても、途中の段階であることが多いので、検診で医師と一緒に経過を確認しましょう。
まとめ:植毛後の抜け毛は経過の一部、炎症のサインと長期の治療に注意する
植毛後に毛が抜けるのは多くの場合想定された経過で、時間をかけて生え直すのを待つことが基本です。
- 移植した毛は見えている部分が抜けても、毛根は残っているのが一般的
- 抜ける毛には「移植毛の脱落」と「既存毛のショックロス」の2種類がある
- 術後1〜2週間はかさぶたを無理にはがさず、クリニックの指示どおりに洗髪する
- 生え直しは数か月単位、仕上がりがわかるまで1年以上かかることもある
- 赤み・腫れ・膿・強い痛み・発熱があれば早めに執刀したクリニックへ
- 植毛していない既存の毛を守るには、治療薬の併用を医師と相談する
これから植毛を受ける人は、カウンセリングで「術後に抜ける時期があるか」「そのときどこに相談できるか」「検診は何回あるか」を確認しておきましょう。すでに手術を受けた人は、不安な点をメモにまとめ、次の検診で医師に見てもらうところから始めてください。