植毛を考えているものの、普段は短髪で後頭部を刈り上げているので、「採取した跡が床屋や家族に見えてしまうのでは」と気になっている。自毛植毛の傷跡がどのくらい残るのか、方法によって違うのかと迷っていませんか。
結論から言うと、自毛植毛では毛を採取した後頭部・側頭部(ドナー部)に傷跡が残ります。FUE法は小さな点状の傷が広く散らばり、FUT法は1本の線状の傷になるのが特徴で、国際毛髪外科学会(ISHRS)も「FUEは傷跡がゼロではない」と説明しています。ただし、傷跡は通常細く、周りの毛で隠しやすいとされており、どちらが目立ちにくいかは髪型や髪の長さで変わります。この記事を読めば、傷跡の種類と治るまでの経過、自分に合う採取方法の選び方がはっきりします。
この記事でわかること
- 自毛植毛で傷跡が残る場所
- FUEとFUTの傷跡の違い
- 傷跡が落ち着くまでの経過
- 髪型別の採取方法の選び方
- 傷跡を目立たせないための確認点
自毛植毛の傷跡は主に後頭部のドナー部に残り、形は採取方法で決まる
自毛植毛の傷跡は、主に毛を採取する後頭部・側頭部に残ります。傷跡の形は、FUE法なら点状、FUT法なら線状と、採取方法によって決まります。
移植先(生え際や頭頂部など)にも、株を植えるための小さな穴や切れ込みを作ります。ISHRSの患者向け資料では、移植先の穴は頭皮の表面にあけるごく小さな針穴や切れ込みで、前頭部の移植部はほとんど目に見える傷を残さずに治り、植えた毛で覆われると説明されています。そのため、傷跡が気になるのは主にドナー部と考えてよいでしょう。
ドナー部の傷については、ISHRSの資料で、通常は細く、周りの毛で簡単に隠せるとされています。ただし、傷が見えるかどうかは、採取方法と髪の長さの組み合わせで大きく変わります。
FUEは点状の傷、FUTは線状の傷が残る
FUE法とFUT法の傷跡の違いは、次のとおりです。表の数値と特徴は、ISHRSのFUE・FUTの解説ページによるものです。
| 比較項目 | FUE法 | FUT法 |
|---|---|---|
| 採取のしかた | 直径0.7〜1.2mmほどのパンチで毛包を1つずつくり抜く | 幅0.5〜1.5cm、長さ5〜30cmほどの帯状に頭皮を切り取る |
| 傷跡の形 | 小さな点状の傷が採取範囲に散らばる | 1本の線状の傷 |
| 縫合 | 不要 | 縫合またはステープルで閉じる |
| 採取部の刈り上げ | 多くの場合必要 | 不要(周りの毛で採取部が隠れる) |
| 回復 | FUTより早いとされる | 縫合部の抜糸までに時間がかかる |
| 費用の傾向 | 手間がかかるため高くなりやすい | 医師の作業量が少ない分、安いことが多い |
FUE法の傷跡
FUE法は、メスで頭皮を切らずに、細いパンチで毛包を1つずつ採取する方法です。線状の傷が残らないことが大きな利点ですが、ISHRSは「FUEは傷跡がゼロではない」と明記しています。採取した数だけ小さな点状の傷ができ、広い範囲から採るほど散らばります。採りすぎると、点状の傷が目立ったり後頭部が薄く見えたりするおそれがあります。
FUT法の傷跡
FUT法は、後頭部の頭皮を帯状に切り取り、顕微鏡などで株に分ける方法です。一度に多くの株を採りやすい一方、縫い合わせた部分に線状の傷が残ります。ISHRSの解説では、FUTの傷は年齢を重ねるほどきれいに治りやすい傾向があり、必要に応じて後から修正できる場合があるとされています。

傷跡は数日〜数週間で落ち着き、しびれは数か月で治まることが多い
ドナー部の傷は、術後数日〜2週間ほどでかさぶたが取れ、見た目が落ち着いていきます。ISHRSの資料をもとに、術後の主な経過をまとめると次のとおりです。
| 時期 | 主な変化 |
|---|---|
| 術後1〜2日 | ドナー部につっぱり感が出ることが多い |
| 術後24時間以内 | 移植した株ごとに小さなかさぶたができる |
| 術後1〜2週間 | FUEの採取部の小さなかさぶたが取れる |
| 術後7〜14日 | FUTなどで縫合した場合、抜糸・ステープルの除去が行われることが多い(溶ける糸を使う場合もある) |
| 術後2〜8か月 | ドナー部や移植部に出たしびれが、多くの場合この間に治まる |
ISHRSの過剰採取の事例紹介では、ドナー部は通常2〜4週間で治るとされています。経過には個人差があるため、赤みや腫れが長引く、膿が出る、痛みが強くなるといった変化があれば、早めに施術を受けたクリニックに相談しましょう。ISHRSの資料では、移植した毛の周りにニキビのような軽い炎症が出ることがあるとされています。感染はまれとされていますが、気になる症状は自己判断せずに医師に診てもらうことが大切です。

短髪ならFUE、髪を長めにしているならFUTも選択肢になる
傷跡を目立たせたくない場合、どちらの方法が合うかは普段の髪型で考えると判断しやすくなります。
| 普段の髪型・状況 | 考えやすい選択肢 |
|---|---|
| 後頭部を短く刈り上げることが多い | 線状の傷が出にくいFUE法 |
| 後頭部の髪を長めにしている | FUT法も選択肢(ISHRSは髪を常に1インチ=約2.5cmより長くしている人を挙げている) |
| 術後に刈り上げたくない | FUT法、または刈り上げずに採取するFUE(ノンシェーブン) |
| 薄毛の範囲が広く、ドナー部が狭い | ISHRSはFUTが向くことがあるとしている。医師と相談 |
ISHRSは、どちらの方法にも完璧な候補者はいないとしています。また、刈り上げずに採取するFUEは、手間と時間がかなりかかるため、限られたケースで行われると説明しています。傷跡の出方は体質や採取量でも変わるため、最終的には医師の診察で決めましょう。なお、本記事で取り上げているカミノクリニック、親和クリニックの公式サイトでは、いずれもFUE法をもとにした術式が案内されています。
傷跡を目立たせないためにカウンセリングで確認したいこと
傷跡を目立たせないためには、手術前のカウンセリングで、採取方法と採取量について具体的に確認しておくことが大切です。
- 採取方法(FUEかFUTか)と、その理由を医師に聞く
- 予定している株数を、どの範囲からどのくらいの間隔で採取するかを聞く
- 採取部を刈り上げるかどうか、刈り上げる場合はどの範囲かを確認する
- 術後の傷のケア方法と、トラブル時の受診のしかたを確認する
- 症例写真は公式サイトで、正面だけでなくドナー部の写真もあるか見る
ISHRSの資料では、医師は採取方法や移植方法の長所と短所を患者と話し合うべきだとされています。説明が「傷跡は残りません」といった断定だけで終わる場合は、リスクについても具体的に質問してみましょう。症例写真は、リスクや副作用の説明とあわせて確認することが大切です。

カミノクリニックの採取方法
FUE法で傷跡の大きさにこだわりたい人は、カミノクリニックの採取方法も比べる候補になります。
カミノクリニックの「カミクリ式植毛術」は、FUE法による自毛植毛です。採取には日本製のオリジナル機器「CFUシステム」を使い、公式サイトでは1分間に最大9,000回の高速回転、直径0.85mm以下の極細針、ダイヤモンド・ルビーコーティングの刃先と案内されています。後頭部を刈り上げずに採取する「ノンシェーブン植毛術」も用意されています。
料金は、カミクリ式植毛術が基本治療費22万円+1株550円(浅いM字500株〜の費用例は495,000円〜)、ノンシェーブン植毛術が1株880円です(2026年10月時点・公式サイトより、税込)。最新の料金はカミノクリニック公式サイトで確認してください。
FUE法でも点状の傷は残るため、傷跡がまったく残らないわけではありません。医師の診察の結果、施術できない場合もあり、必要な株数はカウンセリングで決まります。傷跡の出方についても、カウンセリングで確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
FUEなら傷跡は残りませんか?
残ります。ISHRSは「FUEは傷跡がゼロではない」と説明しています。FUEは線状の傷が残らない方法ですが、毛包を採取した数だけ小さな点状の傷ができます。多くの場合は周りの毛で隠れますが、ごく短く刈り上げると見えることがあります。採取量と採取範囲を医師に確認しておきましょう。
FUTの線状の傷跡は後から目立たなくできますか?
ISHRSの解説では、FUTの線状の傷は必要に応じて後から修正できる場合があるとされています。ただし、修正の方法や効果は傷の状態によって異なり、追加の費用や手術が必要になることもあります。まずは施術を受けたクリニック、または植毛の修正に対応している医師に相談しましょう。
移植した生え際にも傷跡は残りますか?
移植先には小さな穴や切れ込みを作りますが、ISHRSの資料では、前頭部の移植部はほとんど目に見える傷を残さずに治り、植えた毛で覆われるとされています。術後しばらくはかさぶたや赤みが出ますが、多くは数日〜2週間ほどで落ち着きます。気になる症状が続く場合は医師に相談してください。
まとめ:傷跡はゼロにはならないため、髪型に合う採取方法を選ぶ
自毛植毛の傷跡は、採取方法と髪型の組み合わせで見え方が変わります。
- 傷跡が残るのは主に後頭部・側頭部のドナー部
- FUEは点状の傷が散らばり、FUTは線状の傷が残る
- FUEも傷跡がゼロではない
- かさぶたは1〜2週間ほど、しびれは数か月で治まることが多い
- 短髪ならFUE、髪を長めにしているならFUTも選択肢
傷跡が心配な人は、カウンセリングで「どの方法で、どの範囲から、何株採るのか」を具体的に確認してみてください。普段の髪型を伝えたうえで、自分に合う採取方法を医師と相談しましょう。